この記事でわかること

  • AIが作った資料で、人が手を入れるべき三つの勘所がわかる
  • 具体的にどこをどう直すかがわかる
  • AIに任せる部分と、自分で詰める部分の線引きがわかる

生成AIに資料作成を頼むと、構成案やページの骨格は速く出てきます。ここから大事になるのは、出てきた資料に読み手への配慮が行き届いているかを確認し、足りない部分を人が整えることです。この記事では、AIで作った資料を仕上げるときに確認したいポイントを、三つに分けて見ていきます。

細部の一貫性をそろえる

一つ目は、細部の一貫性をそろえることです。AIはページ単位では自然に見える資料を作れますが、全体を通してルールを統一するのは得意ではありません。

たとえば、「お客様」と「顧客」が混ざっている。見出しの揃え方がページごとに違う。「?」を使うページと使わないページがある。文字サイズや余白もそろっていない。こうした違いが重なると、内容が正しくても資料全体が粗く見えます。

提出前には、次の点を確認します。

  • 見出しを左揃えにするか、中央揃えにするか
  • 余白やスペースの取り方
  • ページタイトルの言葉のトーン
  • 「?」や「、」など記号の使い方
  • 文字サイズや色の不揃い
  • 表記の揺れ

「この資料全体を、表記の統一という観点で見直してください。ページタイトルの言葉のトーン、表記の揺れ、記号の使い方を確認し、修正したほうがよい箇所を一覧にしてください」

ただし、何を基準にそろえるかは人が決めます。お客様向けにやわらかく書くのか、社内の決裁資料として簡潔にまとめるのか。その判断が先にあってはじめて、AIに修正指示を出すことができます。

読み手の立場に立って文脈を組み立てる

二つ目は、読み手の立場に立って文脈を組み立てることです。AIは情報を並べることは得意ですが、その資料を読む人が何を知りたいのか、どの順番なら判断しやすいのかまでは十分に配慮できません。

決裁者に見せる資料なら、最初に目的、費用、期待できる効果を示します。現場担当者向けの資料なら、背景説明よりも、具体的な手順や変更点を先に出します。同じ内容でも、誰が読むかによって並べ方は変わります。

表紙の次に、この資料の目的を短く示すページを入れるのも有効です。たとえば、「この資料では、現在の問い合わせ対応を見直し、対応漏れを減らすための改善案を説明します」と書いておく。最初に資料の位置づけがわかると、その後に続く説明も読み手の頭に入りやすくなります。

ページごとの役割も整理します。判断に関わるページでは、根拠や数字を丁寧に示します。一方で、補足情報は後半に回し、本文の流れを止めないようにします。すべてを同じ分量で説明するのではなく、判断に必要な情報を前に出します。

言葉も相手に合わせて選び直します。AIが置いた専門用語が読み手になじまないなら、ふだんの業務で使っている表現に置き換えます。この調整は、相手の顔や仕事の状況がイメージできる人間にしかできない作業です。

提出前の基本項目を確認する

三つ目は、提出前の基本項目を確認することです。派手な作業ではありませんが、ここが抜けると資料の信頼性が下がります。

目次は入っているか。ページ番号は入っているか。「詳しくは五ページ」と書いた参照先は正しいか。構成を変えたあとに、ページ番号や参照先がずれていないか。特に参照番号は、ページの順番を入れ替えたあとにずれやすい部分です。

あわせて、誤字脱字、数字の単位や桁、会社名や商品名の表記、日付も確認します。売上金額の桁、正式名称、日付の間違いは、たとえ一か所でも資料全体の説得力を落とします。

AIに任せる部分と、人が詰める部分をどう分けるか

三つを並べると、役割分担が見えてきます。表記の揺れの確認、ページタイトルの言葉のトーンの調整、冗長な文章の整理、目次案の作成など、基準を決めれば処理できる作業はAIに任せやすい部分です。

一方で、その資料を誰に見せるのか、相手は何を知りたいのか、どの情報を前に出すべきかは、人が判断する部分です。全部を自分で抱えるのではなく、任せられる作業はAIに任せ、判断が必要なところに人の時間を使います。

役割分担の考え方は、Human-in-the-loopとは|AIに任せる範囲と人間の判断でも整理しています。資料を作る前の段階で人が考えておくことは、提案書をAIに任せる前に、人が考えておくことで扱っています。

AIが作業している間、人は別の作業を進められる

これまで資料作成では、一人でスライドを作っている間、ほかの仕事を進めることはできませんでした。

しかし、AIに資料の骨格を作らせ、修正を指示している間は、人の手が空きます。AIに表記の揺れの確認を任せている間に、別の案件のメールを返す。構成案を出させている間に、次の打ち合わせの準備を進める。資料作成は、画面の前でずっと手を動かす作業から、指示を出し、戻ってきた案を確認する作業へ変わります。

まとめ

AIで資料を作るときは、完成後にすぐ提出するのではなく、最後に人が確認するポイントを決めておくことが大切です。

確認するのは、細部の一貫性、読み手に合わせた文脈、提出前の基本項目です。表記やデザインのルールがそろっているか。相手が知りたい順番で説明できているか。目次、ページ番号、参照先、数字、固有名詞に間違いがないか。この三つを順番に見直すだけでも、資料の印象は変わります。

まずは、手元にある資料で表記の揺れとページ番号を確認してみてください。そこから始めるだけでも、AIが作った資料をそのまま出すより、仕上がりはかなり整います。

Q&A

Q1. AIに最初から完成形の資料を作らせることはできないのですか?

依頼を具体的にすれば骨格の精度は上がります。ただし、相手や場面に合っているかという最後の判断は人に残ります。

Q2. 直す基準が自分の中にないときは、どうすればいいですか?

わかりやすい資料と見比べてください。見出し、情報の順番、余白を見るだけでも、直す方向が見えてきます。

Q3. AIが出した文章が回りくどいとき、AIに直させてもいいですか?

直させて構いません。「冗長な部分を削って、一文を短くしてください」と依頼し、最後に人が確認します。