この記事でわかること

  • AIでオウンドメディアを始めやすくなった理由
  • 構築・記事作成・運用をAIで進める流れ
  • AIに任せる部分と、人が判断する部分

専門性の高い会社は、記事化できる独自の情報や知見を多く持っています。ところが、オウンドメディアを始めようとすると、まずサイト構築で足が止まります。自社で作れなければ外部に依頼する必要があり、まとまった費用がかかります。公開までに長い時間がかかることもあり、なかなか踏み切れなかった会社は多かったはずです。

さらに公開後は、記事を継続して配信していく必要があります。外部ライターに依頼すれば費用がかかりますし、社内で書く場合も、誰が企画し、本文を書き、古くなった情報を直すのかを決めなければなりません。サイトを作る費用と、記事を継続して配信する体制。この二つが、これまで多くの会社にとってオウンドメディアが重い取り組みになっていた理由です。

その状況を変え始めているのが、生成AIです。いまは、ページ構成やデザイン案を作るだけでなく、Claude Codeのような開発支援AIを使って、サイト構築そのものまで自社で進めやすくなっています。記事作成や運用でも、企画、下書き、修正、公開後の見直しをAIに任せられる部分が増えています。これまで外注費や担当者不足が壁になっていた工程を、AIを使いながら自社で担いやすくなってきたのです。

この記事では、生成AIでオウンドメディアを立ち上げる全体像と、人が押さえるべき勘所を整理します。

なお、ここで説明する方法は、本メディア「てならいAI通信」そのものを構築・運用している方法です。サイトの構築から、この記事を含むすべての記事の作成、公開後の運用まで、これから整理する流れで行っています。

オウンドメディアは、長く「大きな投資」だった

これまで、自社のメディアを本格的に持とうとすると、外注で数百万円規模の費用と、数か月の期間がかかることも珍しくありませんでした。戦略や設計、デザイン、サイトの構築、記事の制作。それぞれに専門家が関わるため、立ち上げ時の負担が大きくなりやすかったのです。

この費用と時間が、多くの会社にとって最初の壁でした。成果が出るかわからない段階で、大きな投資を決めるのは簡単ではありません。発信したい内容はあるのに、サイト制作とその後の運用体制を考えると踏み出しにくい。そうした状況が長く続いてきました。

その前提が、生成AIで変わった

生成AIの登場によって、この前提は大きく変わりました。作る、書く、回すという三つの段階を、いずれもAIを使いながら進められるようになってきたからです。

以前なら数か月かかった立ち上げも、まず形にするところまでは短期間で進められます。完成度の高いメディアが一瞬でできるわけではありません。大きく変わったのは、最初のたたき台を早く作り、人が確認しながらブラッシュアップしていける点です。ここから、三つの段階を順に見ていきます。

専門知識がなくても、サイトは作れるのか

最初の段階は、サイトを構築することです。ここで多くの方が不安に感じるのは、社内にエンジニアやデザイナーがいないことだと思います。

いまは、プログラミングの専門知識がなくても、AIを使いながらサイト作りを進めやすくなっています。どのような読者に向けたメディアにしたいのか、どんな記事を並べたいのかを言葉で伝えれば、ページ構成やデザインの方向性を整理できます。本メディアも、Claude Codeのような開発支援AIを使い、構成やデザイン案にとどまらず、サイト構築そのものを自社で進めました。実際には、記事を管理するヘッドレスCMS(記事の中身だけを管理する裏側の仕組み)に、公開を支えるいくつかの仕組みを組み合わせて成り立たせています。これまで主流だった、サイトの見た目と記事の管理が一体になった作り方とは違う進め方で、AIの助けを借りながら、その組み合わせを自社で整えていけるようになってきました。

生成AIを使って構築を進める具体的な流れは、生成AIでオウンドメディアを構築する流れで詳しく解説しています。

中身は、AIに任せきりで書けるのか

二つ目の段階は、一本一本の記事を書くことです。メディアの価値は、最終的にここで決まります。

この段階で大切なのが、パイプラインという考え方です。記事作成を一つの作業としてAIに丸投げするのではなく、工程に分けて順番に進めます。

  • ブリーフ(何を、誰に、なぜ書くかを決める)
  • リサーチ(事実や根拠を集める)
  • アウトライン(構成を組む)
  • ドラフト(本文を書く)
  • ファクトチェック(事実の正しさを確かめる)
  • コピーチェック(日本語や表現を整える)

各工程でAIに下書きや案を出させ、人が確認してから次へ進みます。最初から最後まで任せるのではなく、方向性、根拠、表現を一つずつ確認しながら記事にしていく進め方です。

本メディアの記事も、この記事を含めてすべて、この工程分割で作成しています。

特に重要なのは、ファクトチェックとコピーチェックです。AIは、もっともらしい誤りを自然な文章で書くことがあります。そこを確認せずに公開すると、専門性を伝えるためのメディアが、かえって信頼を損なう原因になります。自社の専門性を記事にする考え方については、専門性の高い会社が活かすべき三つの強みもあわせて参考にしてください。

記事作成の工程を分けて進める具体的な流れは、生成AIで記事を作る流れで詳しく解説しています。

公開してからが、メディアの本番

三つ目の段階は、公開後に改善し続けることです。メディアは、記事を出して終わりではありません。むしろ、公開してからが本番です。

サイト全体の修正、記事画像の制作、生成AI検索で見つけてもらうための調整、アクセス解析。こうした作業にも、生成AIを使えるようになってきました。運用基盤を整えれば、改善点を次の記事や既存記事へ反映しやすくなります。

全部をAIで回す、それでも人が決めること

構築、記事作成、運用の三つを、生成AIを使いながら進める。これが、いま自社でオウンドメディアを持つときの現実的な進め方です。立ち上げも改善も、以前より速く進められます。

ただし、各段階には人が決めるべきことがあります。何を、どんな専門性で、誰に向けて発信するのか。事実として正しいか。記事を読んだあと、読者にどのような行動をとってほしいか。公開してからも、更新性をどうやって担保していくか。古くなった記事を、どのタイミングで改善するか。こうした判断は、人が行う必要があります。ここを人が設計しないままAIだけで進めると、早く構築できるかもしれませんが、中身の薄いメディアになってしまう恐れがあります。

Q&A

Q1. すでにWordPressなどで作ったサイトがある場合は、作り直しになりますか?

必ずしも作り直す必要はありません。いまあるサイトに記事を足す形でも、生成AIは取り入れられます。記事作成の流れや公開後の見直しは、サイトの土台が何であっても応用できます。サイトを新しく作り直すかどうかは、いまのサイトで発信したい内容を届けられるかを基準に判断するとよいでしょう。

Q2. 社内にAIに詳しい人がいません。何から始めればよいですか?

最初の一歩は、AIの操作を細かく覚えることではありません。誰に何を届けるメディアにしたいかを言葉にすることです。そこが定まると、AIへの指示も、人に頼むときの依頼もぶれにくくなります。まずは一本の記事で小さく試すところから始めるのがよいでしょう。