この記事でわかること
- 会社アカウントと個人アカウントでデータの扱いがどう変わるか
- 全社一斉ではなく部署やグループごとに始める進め方
- ユーザーアクセスと会話履歴で確認しておくべき設定
Geminiを正式に社内で使い始めるとなると、まず気になるのはセキュリティだと思います。便利なのは分かっていても、初期設定をきちんとしないまま全社に広げて、情報が漏れる経路を残してしまわないか。導入を任された立場なら、そこが一番の心配事だと思います。
結論から書くと、Geminiの初期設定は、身構えるほど複雑な作業ではありません。Google WorkspaceのBusiness Plusなど、対象となるプランでGeminiを使う場合、会社アカウントでの利用には、これまで使ってきたWorkspaceと同じデータ保護がそのまま適用されます。入力した内容やアップロードしたファイルが、生成AIモデルの学習に使われることはありません。
そのうえで、管理者が最初に決めておきたいことがいくつかあります。どの部署から、どの機能を、どの範囲で使い始めるか。この記事では、その判断のために確認しておきたい設定を順番に整理します。
まずは会社アカウントで使う前提をそろえる
最初に確認したいのは、業務で使うアカウントです。Geminiを仕事で使うときは、会社のGoogleアカウントから利用しましょう。
同じGeminiでも、個人のGoogleアカウントで使うと、データの扱いが変わります。会社のアカウントなら適用されるWorkspaceのデータ保護が、個人アカウントには及びません。社員が個人の@gmail.comアカウントで顧客情報や社内資料を入力すると、その内容は会社が用意した保護の範囲から外れてしまいます。
そのため、導入のはじめに「業務情報は会社アカウントで扱う」と明確に伝えます。顧客情報、社内資料、未公開情報を個人アカウントに入力しない。この基本ルールを先にそろえることが、最初の安全対策になります。
全社一斉ではなく、部署やグループごとに始める
Geminiの初期設定で考えたいのは、全社一律でオンにするかオフにするかだけではありません。Google Workspaceでは、組織部門やグループごとにサービスの利用範囲を分けられます。
この仕組みを使えば、最初から全社員に同じ範囲で開放する必要はありません。たとえば、議事録や資料作成が多い部署から始める、営業部門はGmailとドキュメントを中心に使う、経営や企画部門ではGeminiアプリとNotebookLMまで試す、といった始め方ができます。部署ごとに使い方を決めると、説明もしやすくなり、現場も試しやすくなります。
Geminiアプリのユーザーアクセスを確認する
管理コンソールでは、まず「生成AI」から「Geminiアプリ」を開きます。ここで確認するのは、サービスのステータスとユーザーアクセスです。
サービスのステータスがオンになっていれば、対象ユーザーはGeminiアプリを利用できます。Business Plusのように対象プランを契約している場合、対象ユーザーはGoogle Workspaceの利用規約に基づいてGeminiアプリを使えます。
管理画面には、「ライセンスの有無にかかわらず、すべてのユーザーにGeminiアプリへのアクセスを許可」という項目が表示されることがあります。この項目は、急いでオンにするものではありません。
対象ライセンスを持つ社員から始めるなら、オフのままで問題ありません。オンにすると、対象ライセンスを持たないユーザーにもGeminiアプリへのアクセスを広げることになるため、全社開放の方針が決まってから判断します。
会話履歴はどこで確認すればいいか
会話履歴は、管理者が必ず確認しておきたい項目です。ただし、GeminiアプリとGemini in Workspaceでは、履歴の設定が分かれている点に注意します。
Geminiアプリは、gemini.google.comなどで使う単独のGeminiです。管理コンソールの「Geminiとの会話の履歴と管理」では、会話履歴を保存するかどうかと、保存する場合の保持期間を管理できます。保持期間は、次の三つから選べます。
- 3か月
- 18か月
- 36か月
一方、Gmailやドキュメントなどの中で使うGemini in Workspaceには、別の「会話の履歴と削除」の設定があります。ここでは、ユーザーによる手動削除を許可するか、自動削除をどのように扱うかを確認します。
履歴をすべて止めればよい、という話ではありません。履歴をオフにすると、過去の会話を見返せなくなり、Workspaceアプリとの連携に影響する場合があります。情報管理を強めたいときは、まず保持期間を短くする方法を検討します。
NotebookLMとレポートも確認しておく
管理画面には、NotebookLMの設定もあります。資料を読み込ませて要約したり、質問したりする用途に向いているため、使う予定があるならサービスのステータスを確認します。まだ運用ルールが決まっていない場合は、特定の部署だけで試す方法もあります。
導入後はGeminiレポートも確認します。誰がどの程度使っているか、どのアプリで使われているか、上限に近づいているユーザーがいるかを見られます。レポートは安全設定そのものではありませんが、使われ方を見ながら説明やルールを整える材料になります。
まとめ
Geminiの初期設定で管理者がやることは、それほど多くありません。会社のアカウントで使う前提をそろえ、使いはじめる部署を決め、ユーザーアクセスと会話履歴を確認する。この三つを押さえれば、社内で使いはじめる準備は整います。
対象のプランであれば、入力した内容が学習に使われないという保護は、最初から適用されています。やることは、いまの設定が自社の方針に合っているかを確認していくことです。
まずは管理画面を開いて、会話履歴の保持期間を確認するところから始めるとよいと思います。
Q&A
Q1. 最初から全社に開放してもよいですか?
全社で使う方針が決まっている場合でも、最初は部署やグループを絞って始める方が管理しやすくなります。使い方が明確な部署で試し、ルールや説明を整えてから対象を広げると、現場に定着しやすくなります。
Q2. 「ライセンスの有無にかかわらず、すべてのユーザーに許可」はオンにすべきですか?
Business Plusの対象ユーザーに使わせる目的であれば、急いでオンにする必要はありません。オンにすると、対象ライセンスを持たないユーザーにもGeminiアプリへのアクセスを広げることになるため、全社開放の方針が決まってから判断します。
Q3. 会話履歴はオフにした方が安全ですか?
必ずしもそうではありません。履歴をオフにすると、過去の会話を見返せなくなり、Workspaceアプリとの連携に影響する場合があります。情報管理を強めたいときは、まず保持期間を短くする方法を検討するとよいでしょう。