この記事でわかること
- コンテンツ戦略の全体像を「入り口・中身・出口」の流れで整理できる
- どのページに力を入れるか、優先順位の決め方がわかる
- オウンドメディアを始める前に、必要な体制やハードルを整理できる
新しい自社サイトを公開して数週間が経ったころ、アクセス数を見て「思ったより人が来ていない」と感じることがあります。
サイトのコンテンツ戦略は、3つの要素がひとつの流れでつながっています。入り口は、検索などサイトの外から訪問者を呼び込む流入の設計。中身は、訪問者にページを見てもらい、サービスを理解してもらうための作り込み。出口は、問い合わせや資料請求といったコンバージョンにつなげる動線です。
入り口だけ整えても、中身が薄ければ興味は深まりません。中身を作り込んでも、入り口がなければ誰にも届きません。3つはセットで考えるものです。
Webサイト制作の全体像はAIでWebサイトを作る完全ガイドで扱いました。企画・要件定義はAIでWebサイトを作る前に考えること、情報設計はWebサイトの情報設計で取り上げています。この記事では、その次の段階としてコンテンツ戦略を深掘りします。サービス紹介ページや事例紹介ページなど、個別ページの具体的な書き方は別の記事で扱います。
サイトを公開しても、訪問者は自然には増えない
まずは入り口の話からです。Webサイトを公開しただけで、多くの人に見てもらえる時代ではありません。
たとえば、福島県の金属加工会社が新しくサイトを作ったとします。その会社をすでに知っている人なら、会社名で検索して訪問してくれるかもしれません。しかし、まだその会社を知らない人は、会社名では検索しません。
検索から訪問者を増やしたいなら、会社名ではなく、見込み客が検索しているテーマに合わせたコンテンツを用意します。
発注を検討している人は何に困っているのか。どんな言葉で検索するのか。その悩みに対して、自社の知見で答える記事やページを用意していく考え方です。
入り口を作る具体的な方法は、後ほどオウンドメディアの項で扱います。
ページごとの優先順位を決める
ここからは中身の話です。サイト内のコンテンツは、力の配分を決めることから始めます。
会社サイトには、トップページ、サービス紹介、会社概要、お問い合わせ、事例紹介、採用情報など、複数のページがあります。すべてのページに同じ時間と労力をかけるのは現実的ではありません。
まず、サイトの目的に近いページを見極めます。問い合わせを増やしたいなら、サービス紹介や事例紹介が中心になります。採用が目的なら、社員インタビューや募集要項に厚みを持たせます。
次に、訪問者が判断するときに見るページを考えます。サービス紹介を読んだ人は、実績や事例を確認したくなります。採用情報を見た人は、働く人の雰囲気や社内の様子を知りたくなります。
こうした判断に関わるページは、時間をかけて作り込みます。一方で、会社概要や基本情報のように、正確に整っていれば役割を果たせるページは、必要な情報をわかりやすくまとめておけば十分です。すべてのページを同じ熱量で作る必要はなく、優先順位をつけて取り組みます。
書く順番も大切です。書きやすいページから始めると、本来力を入れるべきページに時間が足りなくなることがあります。まずは、成果に近いページから作り込みます。
もうひとつ注意したいのが、ページ間のメッセージのずれです。
トップページで「丁寧な対応」を強みとしているのに、事例紹介では「短納期対応」ばかりを前面に出していると、訪問者には会社の特徴が伝わりにくくなります。複数のページを読んだときに、同じ方向を向いているかを確認しておきます。
個別ページの書き方は、AIでサービス紹介ページを作るなどの記事で扱っています。
外からの流入は、検索されるテーマから作る
入り口の話に戻ります。サイトの外から訪問者を呼び込む代表的な方法が、オウンドメディアです。
ここでいうオウンドメディアとは、自社で運営する記事コンテンツのことです。サービスを直接売り込むページではなく、見込み客が検索しそうな悩みや疑問に答える記事を積み重ねていきます。
宮城県の社労士事務所であれば、「補助金申請の事前準備」や「就業規則を見直すタイミング」のようなテーマが考えられます。岩手県の金属加工会社であれば、「金属加工の図面の渡し方」や「試作を依頼するときに確認すべきこと」など、発注者の悩みに近いテーマが候補になります。
出発点は、自社が言いたいことではありません。見込み客が検索したくなる悩みです。その悩みに対して、自社の知識や経験で答えられるテーマを探します。
テーマの候補出しには、AIも使えます。
たとえば、次のように依頼します。
当社は岩手県の金属加工会社で、試作品の小ロット製造が得意です。発注を検討する設計担当者が検索しそうな記事テーマを20本出してください
このように入力すると、テーマの候補は出てきます。ただし、そのまま使えるものばかりではありません。自社の強みと合っているか。実際に答えられる内容か。見込み客の悩みに近いか。最後は人が選び直す必要があります。
オウンドメディアは、始める前に運用体制を決める
オウンドメディアは、1〜2本の記事で成果が出るものではありません。
検索からの流入を増やすには、ある程度の記事数と運用期間が必要です。数本だけ書いて止まってしまうと、サイト全体の流入を支えるところまでは育ちにくくなります。
そのため、「とりあえずブログを作る」という始め方はおすすめできません。
誰がテーマを決めるのか。誰が記事を書くのか。どのくらいの頻度で公開するのか。公開後にアクセスを確認するのか。こうした運用体制を先に決めておきます。
社内だけで続けるのが難しい場合は、テーマ設計や編集を外部に相談する方法もあります。ただし、外部に任せる場合でも、自社の強みや顧客の悩みを言語化する作業は社内側に残ります。ここを丸投げすると、どの会社にも当てはまる一般的な記事になりやすくなります。
入り口から出口まで、動線でつなぐ
最後に出口の話です。コンテンツ戦略の出口は、問い合わせや資料請求といったコンバージョンです。記事を増やすだけでは、ここまでたどり着きません。
オウンドメディアで検索から訪問者を呼び込み、興味を持った人をサービス紹介や事例紹介へ案内します。そこで自社への理解を深めてもらい、最後に問い合わせや資料請求につなげます。
この流れができていないと、記事は読まれているのに問い合わせが増えない、という状態になります。
たとえば、試作に関する記事を読んだ人には、試作対応のサービスページや、過去の事例へ進んでもらう導線をつけます。
出口となる問い合わせフォームも戦略の一部です。項目が多すぎたり、聞かれる内容が重かったりすると、興味を持った人も入力をやめてしまいます。必要な項目に絞り、コンバージョンしやすい形にしておきます。
記事からサービス紹介、事例紹介、問い合わせフォームまでは、訪問者から見るとひとつの流れです。ページを単体で考えるのではなく、次にどこへ進んでもらうかまで設計します。
AIに任せられる部分と、人が判断する部分
個別ページや記事のたたき台作りには、AIを使えます。
サービス紹介ページの構成案を出す。ニュース記事の初稿を作る。記事テーマを洗い出す。こうした作業は、AIを使うことで時間を短縮できます。具体的な使い方は、AIでサービス紹介ページを作る、AIでWebサイトのニュース記事を作る、ECコラム・ブログでSEO流入を作るなどの記事で扱っています。
ただし、コンテンツ戦略そのものをAIに任せきることはできません。
どのページに力を入れるのか。自社らしさをどこで伝えるのか。ページごとのメッセージをどうそろえるのか。オウンドメディアでどのテーマを扱うのか。誰がどの頻度で運用するのか。
これらは、自社の事業や顧客を理解している人が判断する領域です。
AIは、考える材料を出すのに向いています。一方で、何を選び、何を捨てるかを決めるのは人の役割です。ここを分けて考えると、AIを使ってもサイト全体の方向性がぶれにくくなります。
まとめ
サイトのコンテンツ戦略は、入り口・中身・出口の3つがつながってひとつの流れになります。
入り口で訪問者を呼び込み、中身で理解と興味を深め、出口で問い合わせにつなげる。この流れを意識しておくと、どこに力を入れるかが見えてきます。
すべてを最初から完璧に作る必要はありません。まずは今あるページを一覧にし、どのページが成果に近いのかを書き出してみます。そのうえで、力を入れる順番を決めます。
外からの流入が足りない場合は、オウンドメディアを始めるかどうかを検討します。ただし、運用体制まで含めて考えておきます。
サイトは、公開後に必要なページを足し、記事を増やし、動線を見直しながら育てていくものです。コンテンツ戦略は、そのための優先順位を決める作業です。
Q&A
Q. オウンドメディアは外注すべきですか?それとも自社で書くべきですか?
A. 最初のテーマ設計や数本の記事は、自社で考えることをおすすめします。外注する場合でも、自社の事業内容、強み、顧客の悩みを社内で整理しておく必要があります。そこが曖昧なまま外注すると、一般的な内容の記事になりやすくなります。すべてを自社で書くのではなく、テーマや方向性は社内で決め、執筆や編集の一部を外部に依頼する形もあります。
Q. すでに公開済みのサイトで、今からコンテンツ戦略を見直す場合は何から始めればよいですか?
A. まず、現在のページを一覧にして、それぞれの役割を書き出します。問い合わせにつながるページ、信頼感を高めるページ、基本情報を伝えるページなどに分けてみます。そのうえで、目的に近いページから優先順位を決めます。次に、アクセスデータを確認し、どのページに人が来ているのかを見ます。検索流入が少ない場合は、オウンドメディアの記事を追加するかどうかを検討します。一度にすべてを直すのではなく、成果に近いページから順番に見直していきます。