この記事でわかること

  • 問い合わせメールで対応漏れが起きやすい理由
  • GASを使った問い合わせ管理の仕組み
  • 未対応の問い合わせを通知し、対応漏れを防ぐ方法

GmailとスプレッドシートをGASでつなぎ、未対応の問い合わせをチャットに自動通知する仕組みを作ると、人の記憶や気配りに頼らずに対応漏れを防げます。

ホームページに問い合わせフォームを設置している会社は多くあります。フォームから送信された内容は、「info@」や「contact@」のような特定のメールアドレスに届く運用が一般的です。

ただ、その後の管理をメールボックスだけに任せていると、対応漏れが起きやすくなります。返信を忘れる、誰が対応しているのか分からない、複数人が同じ問い合わせに対応してしまう。これは担当者の頑張りだけで解決しにくい、メールという仕組みの性質によるものです。

この記事では、GASを使ってGmailの問い合わせメールをスプレッドシートに自動転記し、ステータス管理を行い、未対応のものをチャットに通知する仕組みを紹介します。

なぜ問い合わせメールで対応漏れが起きやすいのか

メールは、基本的に時系列で流れていく仕組みです。新しいメールが上に積まれ、古いメールは下に埋もれていきます。

「あとで返そう」と思って一度閉じると、その後に別のメールが届き、最初の問い合わせが見えにくくなることがあります。忙しい日ほど、この小さな見落としが起きやすくなります。

複数人で対応している場合は、状況がさらに見えにくくなります。誰が見ているのか、対応中なのか、すでに返信済みなのかが、メールボックスだけでは分かりにくいからです。

その結果、「誰かが返すと思っていた」「もう対応済みだと思っていた」といったすれ違いが起きます。これは担当者の注意力だけで解決する問題ではありません。メールだけで進捗を管理しようとすると、どこかで無理が出てきます。

だからこそ、「もっと気をつける」ではなく、問い合わせを一覧で見える形にする仕組みが必要になります。

GmailとスプレッドシートをGASでつなぐ

ここからは、具体的な仕組みの全体像を見ていきます。

問い合わせメールが届いたら、GASがGmailを確認し、該当するメールをスプレッドシートに転記します。スプレッドシートには、受信日時、差出人、件名、本文、ステータス、担当者、対応期限などの列を用意しておきます。

ステータスには「未対応」「対応中」「完了」などを入れ、誰がどの問い合わせを見ているのかを管理できるようにします。未対応のまま期限を過ぎた問い合わせは、SlackやChatworkに通知します。

この仕組みを作ると、問い合わせ管理の中心がメールボックスからスプレッドシートに移ります。担当者はメールを探すのではなく、管理表を見て、その日対応すべき問い合わせを確認できます。

GASそのものについては、いまさら聞けない「GAS(Google Apps Script)」とは?業務自動化の基本で詳しく扱っています。ここでは、Googleのサービス同士をつなぎ、繰り返し作業を自動化する仕組みだと考えると分かりやすいです。

なお、GASは「メールが届いた瞬間に動く」仕組みではありません。実際には、5分ごと、10分ごと、15分ごとなど、決まった間隔でGmailを確認する形になります。

リアルタイムではありませんが、通常の問い合わせ対応であれば、数分程度の遅れは大きな問題になりにくいでしょう。

仕組みのステップ

具体的な流れは、大きく3つに分けられます。

ステップ1:Gmailで問い合わせメールにラベルを付ける

まず、Gmailのフィルタ機能を使って、問い合わせフォームから届いたメールを判別します。

送信元アドレス、件名、宛先などの条件を設定し、該当するメールに「お問い合わせ」のようなラベルを自動で付けます。

これにより、通常の業務メールと問い合わせメールを分けられます。GASが確認すべきメールも明確になります。

ステップ2:GASが定期的にラベル付きメールを確認する

次に、GASを定期的に動かし、新しい問い合わせメールが届いていないかを確認します。

すでにスプレッドシートに登録済みのメールは、二重に登録されないようにします。たとえば、メールIDや受信日時を使って、登録済みかどうかを判定します。

ステップ3:問い合わせをスプレッドシートに追加する

新しい問い合わせが見つかったら、必要な情報をスプレッドシートに書き込みます。

最初のステータスは「未対応」にしておきます。対応期限は、「受付日+1営業日」のように自動で入れることもできます。

ここまで聞くと、「自分にコードが書けるのか」と不安に感じるかもしれません。今は、生成AIに相談しながらコードのたたき台を作ることができます。

たとえば、ChatGPTやClaudeに「Gmailで特定のラベルが付いたメールを、スプレッドシートに自動転記するGASを書きたい」と相談すれば、最初のコード案を作ってもらえます。

AIに相談しながらコードを作る進め方については、バイブコーディングって何ですか?でも扱っています。

未対応の問い合わせをチャットで通知する

スプレッドシートに問い合わせを登録したら、次は未対応のものを通知する仕組みを作ります。

たとえば、毎朝9時にGASを動かし、スプレッドシートの中から次の条件に当てはまる行を探します。

  • ステータスが「未対応」
  • 対応期限を過ぎている
  • その日にまだ通知していない

該当する問い合わせがあれば、SlackやChatworkに通知します。

通知文は、たとえば次のような形です。

【未対応の問い合わせがあります】
受付日時:2026/5/23 10:15
会社名:〇〇株式会社
件名:サービス資料について
対応期限:2026/5/24
管理表を確認してください。

通知先は、普段の業務で使っているチャットにするのがおすすめです。日常的に見る場所へ通知することで、対応漏れに気づきやすくなります。

Chatworkを使っている場合は、メッセージとして送るだけでなく、期限付きのタスクとして登録する方法もあります。担当者と期限を指定すれば、その人のタスク一覧に表示できます。

メールボックスを開きに行かなくても、未対応の問い合わせがチャットに届く。この仕組みを作るだけで、対応漏れに気づくタイミングは大きく変わります。

注意点と運用のコツ

便利な仕組みですが、向いている規模や注意点もあります。

まず、GASには1日に実行できる回数や、1回あたりの処理時間に上限があります。1日数件から数十件の問い合わせを少人数で管理する用途であれば、十分に現実的です。一方で、1日数百件以上の問い合わせを扱う大規模な運用には向きません。

メールアドレスは、問い合わせ専用のものを使うのがおすすめです。info@やcontact@のような共有アドレスであれば、担当者が変わっても引き継ぎやすくなります。個人のメールアカウントを前提にすると、退職や担当変更のときに運用が止まりやすくなります。

メール本文の取り込みも、最初から細かく分けすぎないほうが安定します。はじめは「受信日時・差出人・件名・本文・ステータス」くらいに絞り、運用に慣れてから会社名や電話番号などを分けていくとよいでしょう。

通知の頻度にも注意が必要です。通知が多すぎると、次第に見られなくなります。最初は「対応期限を過ぎたものだけ、1日1回」程度から始め、必要に応じて調整するのが現実的です。

まとめ

ホームページからの問い合わせメールは、メールボックスだけで管理しようとすると、対応漏れや二重対応が起きやすくなります。

Gmail、スプレッドシート、GASを組み合わせると、問い合わせを一覧で管理できるようになります。さらに、未対応のものをSlackやChatworkに通知すれば、見落としを防ぎやすくなります。

この仕組みは、1日数件から数十件程度の問い合わせを扱う会社に向いています。生成AIに相談しながらGASコードのたたき台を作れるため、専門のエンジニアがいない会社でも取り組みやすくなっています。

まずは、問い合わせ専用のメールアドレスを確認し、過去1週間にどのような問い合わせが届いていたかを見直すところから始めてみてください。そこから、どの項目を管理表に入れるべきかが見えてきます。

Q&A

Q. 問い合わせメールがリアルタイムでスプレッドシートに反映されないのは困りませんか?

GASは、メールが届いた瞬間ではなく、決まった間隔でGmailを確認する形になります。5分ごと、10分ごとなどに設定すれば、通常の問い合わせ対応では大きな問題になりにくいでしょう。

緊急性の高い問い合わせがある場合は、件名や本文に含まれる特定の言葉をもとに、別途チャット通知する仕組みを作ることもできます。

Q. 個人のGmailアカウントでも使えますか?

技術的には使えます。ただし、業務で使う場合は、問い合わせ専用の共有アドレスを使うほうが安心です。

個人のメールアカウントを前提にすると、退職や担当変更の際に引き継ぎが難しくなります。長く使う仕組みにするなら、Google Workspaceなどで専用アドレスを用意して運用するほうが現実的です。

Q. 既存の問い合わせ管理ツールを使う場合と何が違いますか?

CRMやヘルプデスクツールは、問い合わせ管理に特化した機能がそろっています。大量の問い合わせを扱う会社や、対応履歴を細かく管理したい会社には向いています。

一方で、月額費用がかかる、初期設定に時間がかかる、社員が新しい操作に慣れる必要がある、という面もあります。

GASとスプレッドシートを使う方法は、普段使っているGoogleのサービスをもとに始められるのが強みです。1日数件から数十件の問い合わせを管理する規模であれば、十分に役割を果たせます。